一択!建国の大地へ ご購入はこちら トロイ戦争外伝 中巻 vol.2
ギリシアのスパルタの領主メネラオスとトロイの第二王子パリスがヘレン問題の決着をつける二人の決闘に及ぶ、二人は激しく干戈を討ち合う、パリスは勝てそうにない・・・ 書籍のご紹介動画


本の概要・紹介文

ギリシアのスパルタの領主メネラオスとトロイの第二王子パリスがヘレン問題の決着をつける二人の決闘に及ぶ、二人は激しく干戈を討ち合う、パリスは勝てそうにない、彼は決闘の場から逃れるすべを考える、折から霧が濃く立ち込めてくる、霧の濃さが増してくる、パリスには恥も外聞もない、霧の濃さをいいことに場から逃れる、メネラオスがパリスを探す、見当たらない、パリスは城内に逃れ自分の部屋に身を隠す、すかさずメネラオスが、アガメムノンが決闘の勝利宣言をする。
この始終を見ていたトロイの軍団の将アエネアスが『これはまずい!』と判断する。傍らにいる部隊の将パンダロスに指示する、パンダロスは優れた弓の腕を持つ将である。彼は弓に矢をつがえメネラオスめがけて矢を放つ、空を裂いて飛ぶ矢は狙いを大きくは外さない、勝利を宣言したメネラオスの脇腹に刺さる、鎧を着ている、矢は鎧を貫通してない、メネラオスの傷は浅い、ギリシアポリス連合軍に騒ぎが起こる、アガメムノンが驚く、大声をあげる、命令を下した。
弓による矢の放射の指示をしたアエネアスは軍団長として、戦わずしてギリシアポリス連合軍の軍門に下る、全てを失う、そのようになることが許せなかったのである。アガメムノンの下した命令により連合軍とトロイ両軍の激突が再開された。
ヘレン問題決着のメネラオスとパリスの決闘の約が反故になり両軍の戦闘が展開する。激戦である、やがて夕刻がおとずれる。今日の激戦で倒れた将兵はトロイ軍のほうがギリシアポリス連合軍を上回る。ヘクトルがトロイの城壁を背にする小高い丘の上に立つ、戦野を見渡す、勝利について考える、考えることができるが勝利が見えない、彼は唇をかみしめた。
ヘクトルの脳裏に浮かぶ、ギリシアとの戦いに明け暮れている、当然妻や子との和みの時間などあるはずがない、突如、ヘクトルの胸おくに愛と言う名の炎がチロチロ燃えるのを感じる、このあとつかの間ではあるがヘクトルは妻のアンドロマケ、幼子のアステアナクスと水入らずの時間を過ごした。
彼は寝につく間際になって要件に思い当たる、パリスのことである。パリスの部屋に歩を運ぶ、声をかける。
『おい、パリス!今日のあの決闘のざまは何だ!』
ヘクトルは今日の決闘の始終について叱咤する、そして、敵と闘う戦闘姿勢をたしなめた。
戦野の朝が明ける。早朝から今日の戦闘が戦野に展開する。ヘクトルの作戦が効を奏して勝ち戦を展開する。
戦場には先日からの激戦で倒れた多くの戦死者の遺体が戦場に放置されている。両軍の将たるアガメムノン、ヘクトルの二人が戦死した将兵らのことに想いが到っている。ヘクトルは将の一人イダイオスを使者としてギリシアポリス連合軍に休戦の申し入れをする、意見が合致する、戦死者の弔いに二日間の休戦をすることになる。アガメムノンは、この休戦とした期間に防衛の土木工事を行う、トロイ軍の攻撃に備えて船陣の前面に防衛柵に構築を命ずるとともに水を入れた濠を設ける、水を入れることのできない濠には進撃を阻む杭を打ち込んで防衛の構えを築いた。

戦場戦野の朝が明ける、休戦の終わりをつげる陽の出である。両軍の鬨の声が朝の静けさを破る、鳥がとびたつ、木々が震える。ヘクトルが捨て身で軍団を励ます、今日の戦闘ではトロイ軍の旗色が輝いた。連合軍が休戦期間に造営した防衛柵、櫓、濠に目を見張る、ヘクトルは連合軍を海に追い落とすむつかしさを痛感した。アガメムノンが今日の戦闘を振り返っている。今日の交戦で連合軍の軍団が築いた防衛柵の近くまで押し下げられたのである。アガメムノンの頭の中を敗北という名の恐怖がよぎる、アガメムノンの器用さは、襲い来る敗北の恐怖を捨てて連合軍の統帥である自分をすぐにとりもどすことである。彼は直ちに会議を招集して手落ちない作戦計画を各将と共有して戦略と作戦態勢を整える。同時にトロイを打ち砕く策のあるかないかを各将らに問いかける。その問いにデオメデスが言い返す、アガメムノンをなじる。ネストルがアガメムノンを問いただす、アキレスが戦闘の軍団にいないことを説き、アキレスの参戦を促せと言う。
 昨日に続いての戦闘の朝が明ける、今日の戦闘も熾烈を極める、オデッセウス、デオメデスが戦傷を負う、軍団医師のマカオンまでが加わって戦闘を展開する。その戦場情報をアキレスの参謀役を務めるパトロクロスがアキレスに報告する役をになって戦場を駆けまわる。その途中においてパトロクロスの友であるユロピロスに会う、彼は大腿部に矢傷を負っている、パトロクロスはこれをほっておけない、手当てを施す、彼が言う、アキレスに戦線に復帰してくれることを懇願する。友の手当てを終えてパトロクロスがアキレスに戦場の詳報を報告する、合わせて友の懇願を伝える。報告するパトロクロスの感情がたかぶる、アキレスを説く。
『アキレス、武具一式と兵を俺に貸してくれ!敵の錯覚を誘い闘いの流れを変えたい』
パトロクロスの申し入れをしぶしぶ承諾する、アキレスが戦場における注意をする、軍団を整えてパトロクロスを戦場へ送り出す。パトロクロスが獅子奮迅の活躍をする、彼が先駆ける、軍団と離れすぎる、ヘクトルが眼前に立つ、ヘクトルとパトロクロスの一対一の果し合いとなる、ヘクトルはてっきり彼がアキレスであると考えての対決である。
この果し合いでパトロクロスがヘクトルに勝てなかった。パトロクロスが『ヘクトル、貴様の死もすぐそこだ!』の一語を残して戦場に倒れる。アキレスがパトロクロスの戦死を知る、悲嘆にくれる、激怒する、アキレスが友の敵討ちを決意する。
連合軍の戦陣にはアテネのへパトスが鍛冶工房をひらいている、アキレスが歩を運ぶ、鎧と兜、そして楯の製作を依頼する、心よく引き受けるヘパトス、一夜で仕上げる、アキレスに届く。
アキレスが戦闘構想を練る、軍団を組みあげる、戦野に布陣するヘクトルの軍団と対峙する。戦闘の火ぶたを切る、アキレスの軍団がヘクトルの軍団を押し下げる、城壁内へと追い込む、アキレスは深追いをせず、自軍団を戦野の一郭に休ませた。一息を突いたアキレスは将の一人に戦車を準備させる。
『おう、俺はヘクトルとパトロクロスの決着に行く!』
アキレスが愛用の剣と槍、楯を携えてトロイの城壁に向けて戦車を走らせる、彼はトロイの城壁のスカイア門前に立つ、アキレスがヘクトルを呼ぶ、アキレスの声を耳にするヘクトル、昨日のパトロクロスとの果し合いが頭の中をよぎる、ヘクトルが門を出てくる、いずれにしてもこのアキレスを亡き者にしない限りトロイの勝利はない、アキレスなんぞ路上の石ころである、これを除くと意思を固めた。城壁上から声が届く、父プリアモスの声が、母ヘカベの声が彼をひき止める、しかし彼にとって踏み越えねばならない道程なのである、トロイ一国の興廃をこの果たし合いにかける決心をする、心が決まる。
 アキレスとヘクトルが対峙する、二人の死闘こそギリシアポリス連合とトロイ一国の運命を左右する果し合いである。
『おい!ヘクトル!俺がアキレスだ!見間違うな!』
『まさしく!』
アキレスが兜を脱ぎ捨てる、ヘクトルも兜を脱ぎ捨てる、二人は死闘を展開する、アキレスがヘクトルのとどめを刺して決闘が終わる。アキレスは死体を戦車に結びつける、アキレスの遺体を引きずりながら自陣へひきあげていく。アキレスは友パトロクロスの葬儀の準備をする、戦車に結びつけて遺体を引きずりながら友の死に哀悼を尽くす、彼は友パトロクロスの葬儀を意を尽くして盛大に行った。
トロイではプリアモスがヘクトルの遺体引き取りについて考えつくす、夜が更けて単身でアキレスの許を訪ねて、ヘクトルの遺体がほしいと意を尽くして懇願して遺体を受け取る。アキレスがヘクトルの葬儀が終わるまで休戦することをプリアモスと約束する。
 ギリシアポリス連合軍をおとずれているホメロスがトロイ戦争の見聞したことを叙事詩にまとめる。ヘクトルの葬儀をいい機会として、アガメムノンの幕舎において詩の吟詠大会を催す、これを聞く将らが感動する。次の日には将兵らに詩の吟詠を聞かせる。彼らは、ホメロスの吟ずる戦争の光景、英雄らの物語の吟詠に酔いしれた。

書籍冒頭のご紹介

第7章 激突 2

この決闘の情況始終を見ていたアガメムノンは、ヘクトルを呼びつける。
『ヘクトル!パリスのこのざまは何だ!果し合いの決闘の放棄とはなんということだ!けしからん。ヘクトル、判っているのか。俺はここにメネラオスの勝利を宣言する』 
アガメムノンが両軍の将兵らにむけて怒声をもって宣言に及ぶ。
『連合軍及びトロイ軍の将兵諸君!共に聞け!とどめこそ刺さなかったが、パリスが果し合いの決闘を放棄して、神聖なる決闘の場から姿を消した。メネラオスは、パリスに討ち勝った!ここに勝利を宣言する。ヘクトル!ヘレンと財宝の全てをいただく、とともに、この戦いにふさわしい賠償を、我が方に払ってもらう、いいな、ヘクトル!』と言って、アガメムノンは、勝利宣言を唱える。連合軍の陣中には、歓声が轟く、どよめき渡る。
トロイ軍の陣内には、落胆と失望が漂う。
歓声でどよめく連合軍、アガメムノンの勝利宣言、戦闘の休止状態の両軍、その状態を一瞬にして変える一本の矢がトロイ軍の後方から空を裂いて飛び来る、矢はメネラオスの鎧を貫き脇腹を裂いた。
トロイの軍中にあって、強弓の技を持つパンダロスの射放った矢である。指示はトロイの軍団長の一人であるアエネアスの命令である。
『このままでは、トロイはこのあと戦わずして全てを失う!パンダロス!メネラオスめがけて矢を放て!』
アエネアスは、戦わずしてすべてを失うことが許せなかったのである。
この9年の戦いで失われた将兵らの命、周辺諸国の城市市民の命、それを思えば並の数ではない。トロイ城市市民の数をはるかに超える。もう、プリアモス一族のトロイではない。パンダロスの一矢は、トロイ軍の命をかけての一矢であった。
アガメムノンは驚く!大音声をあげて命令を下す。
凄惨なる戦いが開始される、両軍団の激突が開始されたのである。
14万の将兵が入り乱れての果し合いである。アガメムノンは、全軍の中を叱咤激励の言葉を発して走り廻る、将兵らが、奮い起つ、勇み起つ、踏みしだかれる草の新芽、戦場に砂塵が舞う、打ち合う干戈の響き、雄叫びの交錯、絶命の叫び、宙に舞う血煙、兵器と化した兵士らの死闘が展開した。
血なまぐさい戦いへと向かっていく恐怖、その恐怖を振り払って挑む、闘いの場における勇気と死闘、栄光と悲劇に満ちた戦場は地獄であった。
打ち合う斬撃の剣、対手を刺し貫く槍、勝者の雄叫び、倒れし者の断末摩の叫び、噴きあがる血潮、大地に流れる鮮血、吸い込む砂の大地、エクスタシーに身を震わす勝者、渦を巻きながら双眸に訪れる暗黒の闇、二度と見ることのない光を追う敗者の両の手、力を増してきた春の陽射しが凄惨の戦場に降り注いだ。 
パンダロスの放った一矢は、決闘の際に約した休戦の約をなきものとした。
両軍の軍団の戦列の横隊は、八重、九重、十重と層をなして構成されている。軍団が衝突する、戦列が揺らぐ、ばらばらに千切れる、戦闘の意図をもって千切れる集団もあれば、その集団にばらされる戦列もある。戦車が疾駆する、兵列がどよめく砂塵が舞う。
一人が斃れる、兜、鎧、楯、そして、刀槍の武器等を兵が戦利とする争いも起きる。片や、自軍の兵らが倒れた兵を、仲間を、不名誉のさだめから救おうとする。飛び来る石と矢にその兵らも斃れいく。
たちのぼる砂塵の中を、戦場を、駆け抜けるギリシアポリス連合軍の闘将デオメデスの姿がある。縦横に必殺の剣を振るい、獅子奮迅に振舞っている。彼の通り去るあとには、胴を薙ぎ払われて倒れた兵、剣を握ったままの腕、彼との果し合いに破れし者の骸があった。
パンダロスは、そのデオメデスの姿を認めた。
『にくき奴!』 
パンダロスは、鍛えし技の強弓に矢をつがえ、デオメデスを射る、狙いは確かであった。矢は、デオメデスの左腕の上腕部に突き刺さる、これを目にした戦友のステネロスが走りよる、矢を引き抜く、応急の手当てを施す。
立ち直るデオメデス、パンダロスに近づき対峙する、対峙の場に来るアエネアス、デオメデスが猛る、パンダロスが咆哮する。
『おい!デオメデス。俺の放った矢もお前を倒さなかった。今度は槍で勝負だ。いいな!』と叫ぶ。
パンダロスは、間をおかずに槍を投げる、楯をかざすデオメデス、槍に力があった、楯を貫く、鎧の胸甲が辛うじて槍先をとめる。
『危なかった!』
デオメデスが咆える。
『しくじったな!パンダロス!俺の一投、お前を倒す!』
『行け!』 短く言葉を発して、手にした槍を渾身の力で飛ばす、そして念じた。

 

目次
  1. 第7章 激突 2
  2. 第8章 ヘクトルの想い
  3. 第9章 休戦
  4. 第10章 戦闘再開
  5. 第11章 パトロクロスの出陣
  6. 第12章 アキレスとヘクトルの決闘
  7. 第13章 パトロクロスの葬儀
  8. 第14章 ヘクトルの遺体を引き取るプリアモス
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