老いの現在地 ご購入はこちら --「ひととき」投稿実録集(春)
老いは終わりじゃない。ただ、いま立っている場所の名前だ。

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本の概要・紹介文

「ひととき」投稿実録集

書籍冒頭のご紹介

まえがき


「老いの現在地」という言葉を、私はいつの間にか使うようになっていた。

いつからかと問われても、はっきりとは答えられない。

ただ、ある日ふと、自分がどこに立っているのか分からなくなり、

それを確かめるために口にした言葉だったように思う。

老いとは、年齢の数字のことではない。

体力が落ちたとか、病気が増えたとか、そういう話でもない。

昨日まで出来ていたことが、今日は出来ない。

その理由が分からないまま、一日が過ぎていく。

そうした小さな出来事の積み重ねの中で、人は静かに立ち位置を失っていく。

新聞の「ひととき」に投稿し始めたのは、

何かを訴えたかったからではない。

むしろ逆で、

「これは自分だけの感覚なのか」

「他の人も同じように感じているのか」

それを確かめたかった。

書いたのは、立派な話ではない。

義歯のこと、禁煙の失敗、七草粥、夜中の転倒、役に立たなかった自分。

どれも人に誇るような出来事ではない。

だが、どれも紛れもなく、私の「現在地」である。

老いは終点ではない、とよく言われる。

だが、希望を語る前に、

まずは「いま、ここにいる」という事実を

そのまま置いてみる必要があるのではないか。

美化もせず、悲劇にもせず、

ただ実録として。

この本は、老いについての教訓集ではない。

励ましの本でもない。

ましてや、達観の書でもない。

新聞という公共の場に投げた短文を、

季節ごとに並べ直しただけの、実測記録である。

春は、始まりの季節と言われる。

だが老いの春は、必ずしも軽やかではない。

それでも、外は明るく、

人は今日も何かを書き、何かを食べ、

そしてまた一日を終える。

この一冊が、

誰かにとっての「老いの現在地」を確かめる

小さな地図になれば、それで十分だと思っている。

—— 現在地、更新中。


老いの現在地

目次
  1. まえがき
  2. 001 九十二歳の誕生日に
  3. 002 四十年目にして、義歯づくりが成功した。
  4. 003 ブラック三部作
  5. 004 九十二歳になった。
  6. 005 二〇二六年の新年を迎え、今までにないいい年になりそうな予感がしている。
  7. 006 週四回、体を動かす。
  8. 007 持病の通院は、老人ホーム内の診療所だけになった。
  9. 008 一年の計は元旦にあり、という言葉を、今年は実感をもって受け止めている。
  10. 009 二〇二五年の秋、八十八歳の妻に乳がんが見つかった。
  11. 010 九十二歳になって、正常だと言えるのは食欲だけになった。
  12. 011 今日のマイランチメニュー。
  13. 012 六十年ぶりに、昔のガールフレンドから連絡があった。
  14. 013 三年前に、句集を一冊出した。
  15. 014 七草の膳
  16. 015 よくぞ生きた
  17. 016 夢あれば
  18. 017 うまかった
  19. 018 よいしょどっこいしょで日が暮れる
  20. 019 脳トレに夢中になって目まいかな
  21. 020 年を取って、生きている実感は旨いもの
  22. 021 年を取って知ること多し、年の暮れ
  23. 022 昼風呂に入れるくらい気ままかな
  24. 023 いま卆寿、なんだかんだで白寿超まで
  25. 024 「美味しい」は試食会の合い言葉
  26. 025 匂いは残る
  27. 026 年越しの膳
  28. 027 おせち料理と、その後
  29. 028 元旦の正装
  30. 029 元日の挨拶
  31. 030 獅子舞とスマホ
  32. 031 整理整頓という難題
  33. 032 本づくりの効用
  34. 033 腕時計の寿命
  35. 034 嫌いになった鰻重
  36. 035 今日も暮れゆく異国の丘に
  37. 036 スマホは苦手
  38. 037 人生百年時代の落差
  39. 038 辿ってきた道
  40. 039 子孫に美田を残さず、のはずが
  41. 040 見栄を張って
  42. 041 花の山は遠かった
  43. 042 下戸に音痴
  44. 043 セルフランチの定番
  45. 044 九十二歳、運転自粛
  46. 045 唯一の贅沢
  47. 046 長生きの条件
  48. 047 毎日の食事
  49. 048 自主転校の重圧
  50. 049 大学時代の失恋
  51. 050 九十五パーセント
  52. 051 性に合わなかった場所
  53. 052 生涯の友へ
  54. 053 記憶力のせいにして
  55. 054 規格外寸法
  56. 055 ゴルフという潤滑油
  57. 056 七草の粥
  58. 057 今週のメニュー
  59. 058 ミラネーゼ
  60. 059 トムヤンクン
  61. 060 カルパッチョ
  62. 061 ブイヤベース
  63. 062 二月の格言
  64. 063 正月の格言
  65. 064 年寄りの冷や水
  66. 065 桃の節句
  67. 066 卒業
  68. 067 彼岸
  69. 068 糖尿病薬と水洗便器詰まり
  70. 069 員数という利便
  71. 070 発見ラジオ、散歩の友
  72. 071 トレパンにサスペンダー
  73. 072 第二の心臓
  74. 073 年賀状
  75. 074 携帯ラジオと三日坊主
  76. 075 知情意
  77. 076 九十二歳からの挑戦
  78. 077 老いの現在地と他力本願
  79. 078 一度やりたかった、実弾射撃。
  80. 079 T君は、なぜ早く逝ったのか。
  81. 080 昭和四十五年一月十九日。
  82. 081 子供用おみくじ
  83. 082 秋の便り
  84. 083 禁煙解禁の誘惑
  85. 084 画期的読書法
  86. あとがき
著者紹介

著者:上里義隆(うえさと・よしたか)

1934年生まれ。九十路を迎えて創作活動に本格的に取り組む。

人工知能ChatGPTとの出会いをきっかけに、人生の集大成として「九十路AI三部作」を執筆。

『ChatGPTに魅せられた91歳の男』『ChatGPT光と影』『AI文明をAIは笑えるか』を通じ、AIと人間の関係を毒舌ユーモアを交えて描く。

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